『猫の地球儀』の話
電撃文庫の『猫の地球儀』(秋山瑞人先生著)という本が好きです。
上下巻で、同じ作者の有名な作品に『イリヤの空、UFOの夏』という作品がありますが、私はこちらの方がより好きです。
私がいわゆるラノベを読みはじめた頃の、かなり初期に読んだものだったかと思います。小学生で、書店でかわいい表紙に惹かれて手に取りました。
結果、大きな衝撃を受けました。
このかわいい表紙で、この世界設定、このストーリー、この結末……!
舞台は宇宙に浮かぶコロニー。
そこには人間並みの知性を持った猫とロボット達が暮らしており、猫はヒゲからロボットに電波を飛ばして操作し、生活を共にし時にはバトルの相棒にしています。
コロニーは地球の周りを廻っていて、猫たちは地球を天国だと思っています。
そんな中、ある天才科学オタ黒猫は夢とロマンを追いかけて「生きたまま地球にたどり着いてみせる」と言い、ある喧嘩馬鹿天才白猫はバトルの前チャンピオンを屠ってコロニー最強の称号を手に入れ、そこに喧嘩馬鹿天才白猫のファンである茶トラ猫が加わってストーリーは進行していきます。
夢とロマンと傲慢さと愚かしさと、どうにもならない熱と切なさが詰まったお話です。
バッドエンドとも言い難く、かといってハッピーエンドでもない、けれどこの他になかったんだろうな……という結末を迎えて物語は終わりますが、この結末故にちょっと人には勧め辛かったりします。
何でも来い!という人は是非読んで欲しい。
私は見事に性癖(誤用)を歪められました。
今でもたまに読み返しますが、話の筋を知っていても面白いです。
地の文の軽妙な語り口、それぞれの猫たちの独特な哲学、とにかく文章がおもしろい。
いやー、いつかこんなお話が書けるようになりたいものよ。。
ちなみ同作者の『ミナミノミナミノ』という本も入手したんですが、未完のようで、手を出せていません。絶対に続きが気になって仕方ない、ということになるので(でも読みたい)
今日はこのへんで。